怖い話し
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各地で、夜遅くに汽車が線路を走っていると、しばしば怪現象が起きた。汽車の前方から汽笛が聞こえてきたかと思うと、その汽車の走っている線路上を、逆方向からこちらへ向かって別の汽車が走って来る。運転手は「危ない、衝突する!」と慌てて急ブレーキをかけるが、その瞬間、あちらの汽車は忽然と姿を消してしまうのである。
このような怪現象が続いたある晩のこと。1人の運転手が汽車を走らせていると、件の幽霊機関車が現れ、こちら目掛けて走ってきた。運転手は「こんなものは幻覚に決まっている」と、ブレーキをかけずにそのまま汽車を走らせた。衝突するかと思われたそのとき「ギャッ!」という叫び声と共に、幽霊機関車は消え去った。
翌朝にその辺りを調べたところ、汽車に轢かれた狢の死体が見つかった。それを見た人々は、線路を引かれたために棲み処を壊された狢が、幽霊機関車となって人々を化かしていたのだろうと噂し、この狢を供養するため、亀有の見性寺に塚を作った。現在ではこの塚の石碑が、見性寺の境内に「狢塚」の名で残されている。
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